はじまりはいつもミステリー EP13

いつだったか、ご主人様の里帰りに初めて同伴した時の事だった。大きな川の堤からしばらく田舎道を歩いたところ、交差点の近くにお地蔵様がいた。そこにはたくさんのお菓子や果物のお供えがしてあったが特別な日ではないらしい。ここでは日常の事のようなのだ。ご主人様が手をあわせている隙に吾輩は、お堂の中のやさしそうに微笑んでいるお地蔵様をのぞき込んだ。そこにいたお地蔵様の額からは血を流した痕がある事にすぐに気づいた。このお地蔵様はむかしむかし、継母が振り上げた竹の棒から、幼き子をかばった時に額から血を流されるほどの傷を負ったといういう言い伝えがあるらしい。その時に受けた傷が今も額に残っているという。そして町の人は今もこのお地蔵様に守って頂いているという事に感謝しているという。さて吾輩がなぜこのお話しを知ったかはミステリーなんじゃがな。

はじまりはいつもミステリー EP12

吾輩もアレルギーなる物がある。ご主人様と一緒で花粉に敏感なようなのだ。だいたいはご主人様が先に感知する。ご主人様がくしゃみと鼻水をずるずるしている姿を見ていると、吾輩も「もらい花粉症」となってしまうような感じなのだ。くしゃみが頻繁に出はじめると、目が腫れてやがて耳の中がかゆくてかゆくて、おかしなカッコウでかきむしってしまう。そんな吾輩に気づくと、ご主人様は床の掃除をマメにしてくれるようになる。部屋に侵入した花粉は床に落ちて、吾輩の鼻は床に近いぶん花粉を吸入しやすいからなのだ。吾輩とご主人さまの花粉ミステリーが今年もそこまでやって来ている。

Episode7~白い壁の向こうに③~

引っ越した翌日の朝は少し寝坊してしまった。昨日疲れたせいなのか慣れない環境のせいなのかはたまた歳のせいなのか・・・歳はとりたくないものだな。急いで支度をして玄関で靴を整えていると靴のつま先と床がぶつかる音ととは別の音が聞こえたような気がした。ギィギィと何かを開け閉めするようなそんな音だった。会社につくと感じのいい小太りの男性が私を待っていてくれて支社のみんなに挨拶をするように促された。前にいた支所より人数は少ないがわきあいあいとしたアットホームな雰囲気っだたのでなんとかやっていけそうだなと思った。おそらくその小太りの男性がここの責任者なのだろう。名前はなんだったかな・・上司から聞かされていたのだがすっかりわすれてしまっていた。午前中は仕事の流れや機械の使い方などメモを取ることで精いっぱいであっという間にお昼の休憩の時間になってしまった。結局名前も思い出せないままだ。お昼ご飯はその名前を思い出せない人が御馳走してくれることになったので会社の近くの定食屋行った。

主人の思い出

主人がインフルエンザになり、全く外に出られないので、私は長年溜まってしまった写真の整理を始めることにしました。
一日二日でやりきれる量じゃないことは覚悟していましたが・・・
奥から写真がたくさん入ってる箱をリビングに運びました。一番小さい箱を開けてみると、結婚してからの写真。二人で旅行へ行った時に撮ったものばかり。ついこの前だと思っていたのに7年前だったり、去年かと思っていたことが、3年程前だったり。月日が流れるのは本当に早いものです。頭の中では、古い順にならべて、会毎に分けて、アルバムに貼っていく・・・単純な作業だと思っていました。いざ始めると、写真が懐かしくて一枚一枚見入ってしまい思った以上に時間がかかってしまい進みませんでした。箱の一番下に、かなりボロボロの封筒がありました。写真と手紙が入っています。若い頃の主人と女の子が、海辺で写っている写真です。手紙は読みませんでした。元の封筒に入れて、また箱の一番下にしまっておこう。見なかったことにしよう。捨てられなかった思い出は誰にでもあるのだから。。

はじまりはいつもミステリー EP11

近頃、人間界ではバレンタインデーなるもので賑わっていたようだが、吾輩たちは絶対にチョコレートなんて危険なものは口にしてはいけないのだ。チョコやココアなどのカカオ成分の中には我々には毒となる物が入っている。不整脈や心拍増、痙攣、嘔吐などなどの症状があらわれるという。場合には死亡という悲惨な事が起きかねないのだ。そして、このチョコにアーモンドやレーズンなんてものが入っているならば吾輩たちにはもっともっと危険度が高いものとなる。場合には死亡という悲惨な事が起きかねないのだ。特に猫族より犬族の方にこの症例が多く出ているという事なのだが、その危険なチョコレートを大好物だという吾輩のご主人様は、これでもかというぐらい食べている。それなのに沢山食べても鼻血がでるぐらい?で治まるというのが不思議なのだ。我々とのこの違いはいったい何なんだろう?それは本当にミステリーなのだ。

はじまりはいつもミステリー EP10

吾輩の友猫の首輪に勾玉(まがたま)というものをつけた奴がいる。不思議な力が宿るという勾玉には術的な魔除けや、厄除けの意味があるという。奴はお守りとして身につけてもらっているもようなのだ。奴は一度大きな事故に遭った事があるからだろう。吾輩はその頃、そうとは知らず、いつも通りの気の向くままのマイペース。しばらく逢わなくたって、奴のマーキングを感じなくたって心配などしていなかった。吾輩たちはきっと皆そうだ。しかし、交通事故からのキセキの生還は誰にでもできる事じゃない。寝たきりだと知っていたら、見舞いにも寄ったのだが。とにかく奴の強さを知ってから、吾輩はシッポを垂直に立て友好的感情を表現するようになった。だが奴のシッポは俺よりずっと前から垂直に立てて吾輩に挨拶していた事は間違いない。

4WDでカジュアルに!

やっぱり4、5日留守をしていらしたんだ。
大きな4WDの車から降りてきた、お隣の奥さん、旅行バッグをトランクから出してもらっている。
見るつもりはないけど、車が家の前で停まると、どうしても目がいってしまうだけです。
しかしいつも、キマっている。モデルさんみたいにスレンダーだから、何を着てもサマになってる。
この前のメルセデスの男性よりはお若いわね。二人ともカジュアルなスタイルで。
御主人の出張中にいつも楽しそうで、羨ましいね~。。
と、ピンポ~ン。お隣の奥さんがお土産を持ってきてくださった。
今回は北陸の旅だったのね。
のどぐろの干物と、能登の焼き塩。さっそく今晩いただきます。
次はどんなイケメンとどこへ旅をするのかな(^O^)

はじまりはいつもミステリー EP9

吾輩は動物病院ってところは何をするとろかを知っている。
吾輩の意志とは別に何度も連れて行かれているからだ。
その場所では、恐ろしく痛い針でワクチンをサクッとブキュッと刺してくる。
ツンデレ王子といわれる吾輩もこの時ばかりは完全にぶち切れ状態、ツンツンの無言状態だ。
どうしてこんなに痛い物を1度ならずも何度も定期的に吾輩に受けさせるのか。
ご主人様を不信に思う頃もあった。
このあとは体が妙にしんどくなって、熱っぽくなって、予防接種というものは吾輩の体にミステリーを起こす。
いつだっか、この注射は吾輩をウイルスや感染症などの病気から守るためのものだと知った。
それからは、おとなしく受け入れているつもりなのだが。。。
そして、少なくとも病院で出会う同士たちは守られているという事を知ったのだ。

Episode7~白い壁の向こう②~

女は私の目をじっと見つめにっこりとほほ笑んだ。そして「これつまらないものですが受け取ってください」とタオルのセットを渡すと会話もほどほどに自宅へ帰っていった。普通引越しの挨拶は引っ越してきた方がするものだと思っていたがこの地域では風習が違うのだろうか?それに挨拶の品も・・まるで私がここに引っ越してくることをはじめから知っていたような・・腑に落ちない気分で私も家の中に戻った。今日はもう疲れたしカップラーメンでも食べて寝ようとダンボールからやかんを取り出し水を入れ、火にかけた。レトルト食品は引っ越す前にたくさん買い込んでおいたので当面の食料の心配はなさそうだが明日にでもスーパーに行かなければなあ。そんなことを考えているうちに沸騰を知らせる音が鳴り響いた。

はじまりはいつもミステリー EP8

吾輩は気分がのっている時には、少々距離があっても商店街まで足をのばすコースがある。
その道中、吾輩が立ち寄るスーパーでは時にいろいろな人間模様がひそんでいた。
いつの頃からか吾輩はその場面に何度か遭遇するようになったのだが。
あの日は、シルバーカーをひきながら少しずつ歩く小さな体のおばあちゃんだった。
店の中から出てきたおばあちゃんを呼び止めるその手が凄い勢いで、何かあったんだと直感した。
「お金を払わなかったものはありませんか?」そんな男の声が聞こえた。
小さい声で「すいません」と答えるおばあちゃんの震える声。
吾輩は振り変える事はしなかった。見てはいけない場面に遭ってしまったようだ。心が痛かった。
罪を憎んで人を憎まずという人間界の言葉の意味、状況に初めて直面した瞬間なのかもしれない。