Episode7~白い壁の向こうに⑤~

隣人の女はコンビニのカゴいっぱいにパンやらお菓子やらアイスクリームを買いこんでいて少し急いでいる様子だった。まあアイスクリームを買ったら誰でも急ぐよな~なんてノー天気なことを考えながら私もレジに並んだ。しかしあのアパートの間取りで誰かと住むなんて考えられないし一体なぜあんなに食べ物を買っていたのだろう・・お菓子はまだしもパンって意外と消費期限が早いしそもそも買いだめするタイプ人はコンビニじゃなくてスーパーに行きそうなものなのに・・不思議な人だ。しかしこの後さらに謎が深まる出来事が起こった。コンビニ飯を食べていると隣人の家から話し声が聞こえてきたのだ。ボロアパートなだけあって壁が薄い。会話の相手はどうやら男のようで時折声を張り上げている。喧嘩でもしているのか?気になったので大変下衆であるが壁に耳をあてて様子をうかがってみることにした。

はじまりはいつもミステリー EP15

ご主人様の田舎、周りが見渡せる広い風景。そんなところで一人ただ一点を見つめ両手を広げている怪しい人影を気にしていた。吾輩はこの田舎道の散歩では必ず奴のところへ行ってみる。今でこそ慣れた町、慣れた道ではあるが、初めての時は、それなりに警戒しているし、それなりの敵との遭遇に備えていた。あの日から、奴は本当に不思議な奴なんだ。少しずつ近づく吾輩をまるで無視。何度か近づいては離れてを繰り返し、興味のシグナルを出してみたが、奴は動じない。話かけても答えない。奴は本当に不思議なんだ。そしてこの町には同じような奴をよく見かける。いったい何人いるんじゃ。そうそう、ご主人様は『かかし』と奴の事を呼んでいた。

Episode7~白い壁の向こうに④~

食事を終えて席を立とうとした瞬間、その人の携帯電話がけたたましく鳴った。取引先からの電話だろうか?あわてて通話ボタンを押して「はい、杉浦です・・ああ、いつもお世話になっています〇〇△◇##・・で、今・・・」話しながら私からどんどん離れていくので会話は全然聞き取ることができなかった。が、その人の名前が杉浦さんという事だけはわかったので良かった。確かに紹介された時に聞かされたのはそんな名前だった気がする。5分くらい話して戻ってきた後杉浦さんは会計を済ませ、一足早く会社へと戻っていった。いまさっき食べたばかりなのに相手ももうちょっと考えろよな~なんて思いながら私も会社へと戻った。そのあとも色々な説明を受けたり、書類を整理しているうちに退社時間になったので、早々と帰路についた。いくつになっても最初の日っていうのは疲れるものだ。炊事もする気分にもなれないので自宅の近くのコンビニへ寄った。だが思いもよらないことに弁当コーナーを物色しているとどこかで聞いたことのある女性の声で「こんばんわ」と話しかけられた。隣人の女である。

はじまりはいつもミステリー EP14

嘘か真実か?世間には信じがたい話がいくつも転がっているという。ひとつひとつそのミステリーを検証してみたいところなのだが、そんな時間も力もなく、ただただありえない、ありうると奇妙な都市伝説を遠巻きにしている吾輩だ。猫族でも有名なのが口裂け女とトイレの花子さんだったりする。猫族の誰かが公園のトイレで。。。夜中の散歩中にマスクの女が。。。と、おかしいと思いつつも噂は根強く残っているから恐ろしい。近いところではピアスの話は面白い。耳たぶにピアスの穴をあけたら失明するという伝説。吾輩のご主人様は2つが3つに増え3つが4つに増えと耳たぶに恐れを知らぬカッコよさだ。だが、そこまでにしておこう。吾輩にはピアスは似合わない。都市伝説とはまだまだミステリー多しなのだ。

はじまりはいつもミステリー EP13

いつだったか、ご主人様の里帰りに初めて同伴した時の事だった。大きな川の堤からしばらく田舎道を歩いたところ、交差点の近くにお地蔵様がいた。そこにはたくさんのお菓子や果物のお供えがしてあったが特別な日ではないらしい。ここでは日常の事のようなのだ。ご主人様が手をあわせている隙に吾輩は、お堂の中のやさしそうに微笑んでいるお地蔵様をのぞき込んだ。そこにいたお地蔵様の額からは血を流した痕がある事にすぐに気づいた。このお地蔵様はむかしむかし、継母が振り上げた竹の棒から、幼き子をかばった時に額から血を流されるほどの傷を負ったといういう言い伝えがあるらしい。その時に受けた傷が今も額に残っているという。そして町の人は今もこのお地蔵様に守って頂いているという事に感謝しているという。さて吾輩がなぜこのお話しを知ったかはミステリーなんじゃがな。

はじまりはいつもミステリー EP12

吾輩もアレルギーなる物がある。ご主人様と一緒で花粉に敏感なようなのだ。だいたいはご主人様が先に感知する。ご主人様がくしゃみと鼻水をずるずるしている姿を見ていると、吾輩も「もらい花粉症」となってしまうような感じなのだ。くしゃみが頻繁に出はじめると、目が腫れてやがて耳の中がかゆくてかゆくて、おかしなカッコウでかきむしってしまう。そんな吾輩に気づくと、ご主人様は床の掃除をマメにしてくれるようになる。部屋に侵入した花粉は床に落ちて、吾輩の鼻は床に近いぶん花粉を吸入しやすいからなのだ。吾輩とご主人さまの花粉ミステリーが今年もそこまでやって来ている。

Episode7~白い壁の向こうに③~

引っ越した翌日の朝は少し寝坊してしまった。昨日疲れたせいなのか慣れない環境のせいなのかはたまた歳のせいなのか・・・歳はとりたくないものだな。急いで支度をして玄関で靴を整えていると靴のつま先と床がぶつかる音ととは別の音が聞こえたような気がした。ギィギィと何かを開け閉めするようなそんな音だった。会社につくと感じのいい小太りの男性が私を待っていてくれて支社のみんなに挨拶をするように促された。前にいた支所より人数は少ないがわきあいあいとしたアットホームな雰囲気っだたのでなんとかやっていけそうだなと思った。おそらくその小太りの男性がここの責任者なのだろう。名前はなんだったかな・・上司から聞かされていたのだがすっかりわすれてしまっていた。午前中は仕事の流れや機械の使い方などメモを取ることで精いっぱいであっという間にお昼の休憩の時間になってしまった。結局名前も思い出せないままだ。お昼ご飯はその名前を思い出せない人が御馳走してくれることになったので会社の近くの定食屋行った。

主人の思い出

主人がインフルエンザになり、全く外に出られないので、私は長年溜まってしまった写真の整理を始めることにしました。
一日二日でやりきれる量じゃないことは覚悟していましたが・・・
奥から写真がたくさん入ってる箱をリビングに運びました。一番小さい箱を開けてみると、結婚してからの写真。二人で旅行へ行った時に撮ったものばかり。ついこの前だと思っていたのに7年前だったり、去年かと思っていたことが、3年程前だったり。月日が流れるのは本当に早いものです。頭の中では、古い順にならべて、会毎に分けて、アルバムに貼っていく・・・単純な作業だと思っていました。いざ始めると、写真が懐かしくて一枚一枚見入ってしまい思った以上に時間がかかってしまい進みませんでした。箱の一番下に、かなりボロボロの封筒がありました。写真と手紙が入っています。若い頃の主人と女の子が、海辺で写っている写真です。手紙は読みませんでした。元の封筒に入れて、また箱の一番下にしまっておこう。見なかったことにしよう。捨てられなかった思い出は誰にでもあるのだから。。

はじまりはいつもミステリー EP11

近頃、人間界ではバレンタインデーなるもので賑わっていたようだが、吾輩たちは絶対にチョコレートなんて危険なものは口にしてはいけないのだ。チョコやココアなどのカカオ成分の中には我々には毒となる物が入っている。不整脈や心拍増、痙攣、嘔吐などなどの症状があらわれるという。場合には死亡という悲惨な事が起きかねないのだ。そして、このチョコにアーモンドやレーズンなんてものが入っているならば吾輩たちにはもっともっと危険度が高いものとなる。場合には死亡という悲惨な事が起きかねないのだ。特に猫族より犬族の方にこの症例が多く出ているという事なのだが、その危険なチョコレートを大好物だという吾輩のご主人様は、これでもかというぐらい食べている。それなのに沢山食べても鼻血がでるぐらい?で治まるというのが不思議なのだ。我々とのこの違いはいったい何なんだろう?それは本当にミステリーなのだ。

はじまりはいつもミステリー EP10

吾輩の友猫の首輪に勾玉(まがたま)というものをつけた奴がいる。不思議な力が宿るという勾玉には術的な魔除けや、厄除けの意味があるという。奴はお守りとして身につけてもらっているもようなのだ。奴は一度大きな事故に遭った事があるからだろう。吾輩はその頃、そうとは知らず、いつも通りの気の向くままのマイペース。しばらく逢わなくたって、奴のマーキングを感じなくたって心配などしていなかった。吾輩たちはきっと皆そうだ。しかし、交通事故からのキセキの生還は誰にでもできる事じゃない。寝たきりだと知っていたら、見舞いにも寄ったのだが。とにかく奴の強さを知ってから、吾輩はシッポを垂直に立て友好的感情を表現するようになった。だが奴のシッポは俺よりずっと前から垂直に立てて吾輩に挨拶していた事は間違いない。