ストーカー【9話】

ビデオに映っていたのは新ちゃんではなかった。
アジア系の外国人だった。
私はその外国人を一度も見たことがなかった。
誰?
探偵さんは、この外国人と繋がっている人間をつきとめると言ってくれた。
外国人は犯人となかなか接触しないらしい。
かなり慎重にしているのかも。
探偵さんは、作戦変更で外国人をつかまえて真実を追及するらしい。
外国人は不法滞在を警察にばれることを怖れて直ぐに白状した。犯人はやっぱり新ちゃんだった。
ここからは探偵さんの腕の見せどころだと言っていた。新ちゃんとどのような交渉をしたのかは教えてくれなかったが、悪夢のような嫌がらせは見事に解決となった。探偵さんは私の命の恩人だ。探偵さんは、調査が終わった後も、定期的に連絡をしてくれ何か心配事はないか確認してくれたりもした。
探偵さんに依頼をしてから解決までの日数は約3ヶ月。費用は63万円。私にとってその費用はとても安いと思った。K探偵さん、本当に有難うございました。
今回のことは、もとはといえば私のせいでもある。K探偵さんと出会わなければ、今もなお恐怖におののいていただろう。新ちゃんと会ってから解決まで二年。この二年はとてもとても長く苦しい日々だった。

ストーカー【8話】

何軒もの探偵社に電話し、漸くとても正直そうな探偵さんを見つけた。これまでの嫌がらせに対して私の行ってきた対処に関して、とても事細かく聞いてくれた。私の足りなかった部分や、今後のリスクをできるだけ回避できるようにしたいと真剣に聞いてくれた。調査方法も事細かく教えてくれた。費用も分かりやすく説明してくれた。費用を極力抑えられるよう色々なパターンも提示してくれた。探偵さんの話しによると、一番多いのは浮気や不倫調査だか、最近はストーカーに関する調査もすごく増えているという。とにかく今回は出来るだけ早く証拠をつかみ、まずは探偵さんが犯人と話しをしてくれるという。逆恨みに繋がると可能性も高く慎重に考えてくれている。警察に被害届けをだすだけでは再発も十分考えられるから、その後のフォローまで対応してくれるらしい。誰も本気で私の話しを聞いてくれなかったのに、この探偵さんと話しているととても安心な気持ちになった。探偵さんは、直ぐに犯行の一部始終を抑えたビデオを撮ることに成功した。犯人の住所も突き止めてくれた。私は恐る恐るビデオを確認した。
えっ?誰?

ストーカー【7話】

初日、勤務先までは1時間掛かるが、色々と心を落ち着かせる時間と考えることにした。仕事を終え、私は真っ直ぐ新居に戻った。
いつもなら何らかの嫌がらせが私を待っているのだが、今日は何の変化もなくまずは一安心。

しかし
翌日からまた悪夢は始まった。
どうすればいいのか。
私は新ちゃんが嫌がらせをしている証拠をつかむことにした。警察が動かないのなら自分で行動するしかない。このままエスカレートすれば命の危険立ってあるのだから。
探偵に相談してみることにした。ネットで検索するが、どこも親切丁寧なことばかり書かれていて
どこの探偵社が良いのか迷ってしまった。取りあえず、電話で相談をしてみた。一軒目、具体的に内線を聞かれるも、面談してからでないと料金は説明できないと言う。二軒目、成功報酬も支払う必要があると言う。少しでも納得できなければ次を探す。何軒も掛けた。まともな探偵はいないのか。丁寧でも、料金体系を細かく聞くと明言できない探偵社ばかりだった。

ストーカー【6話】

やはり嫌がらせは直ぐに復活した。玄関ドアに私への誹謗中傷を書いた紙が何枚も貼り付けられた。その都度はがしてもまた貼られ、あげくのはてにはスプレーで落書きまでされた。私は引っ越しをすることにした。通勤に便利だったが、勤務先からかなり離れた人通りの良いマンションを選んだ。セキュリティも整っている。家賃は約2倍になるが、そんな事で迷っている場合ではない。
引っ越しを終え、漸く日々の生活を取り戻せるとホッとした。もっと早くに引っ越しすれば良かったと、後悔さえした。新たな気持ちで頑張ろう!

ストーカー【5話】

悪夢は直ぐに始まった。ポストの中にゴミがいっぱい入っていた。毎日毎日続いた。警察に連絡をしても「パトロールを強化します」と言ってはくれたが、それでもゴミは入っていた。私は悩んだ挙句、新ちゃんの母親に会いに行った。母親は「新ちゃんがそんな事するはずがないでしょ」と期待通りの返事。怖いのは、嫌がらせがひどくならないかということだった。母親に会いに行った翌日、ポストにゴミはなかった。少しだけ安心もしたが、でもやっぱり安心はできない。

ストーカー【4話】

翌朝の出勤時、新ちゃんが家の前にいたらどうしようと思いながら、恐る恐る玄関を出た。新ちゃんがいないことに少し安心して会社に向かった。その日はあまり仕事にも集中できない状態で、弱い自分に情けなくなってきた。
私に内線が鳴った。受付からだった。外から電話と言われた瞬間、新ちゃんだと思った。出ないでおこうととも考えたが、何度も掛けてこられても困るので出てみた。新ちゃんだった。『別れたくない!』と。『もう、掛けてこないで!迷惑なの!これ以上付きまとうなら、警察に通報します!』と私は必死の思いで答えた。『僕は諦めない』とだけ言って、新ちゃんから電話を切った。私は仕事もてにつかなくなり、その日は自宅に帰った。
悩んだが警察に相談をしてみた。警察は事情を丁寧には聞いてくれたが、何だか聞いているだけのような感じだった。何かあったらいつでも電話してきて下さいと言われて終わった。実際はこんな程度かもしれない。これからどうしたらいいのか。

ストーカー【3話】

私は新ちゃんに別れようと伝えた。新ちゃんは、『嫌だ!絶対嫌だ!絶対別れない!』と泣きながら叫び続けていた。なんかちょっと怖い雰囲気すら感じた。
とにかくごめんなさいと言って、私は新ちゃんから離れた。
その夜、新ちゃんから携帯に電話があった。
僕は別れない!認めない!と言うばかりだったので、私は電話を切った。切っても切っても新ちゃんは何度もかけてきた。私は怖くなって、新ちゃんの番号を拒否登録した。しかし直ぐに公衆電話からの着信となった。私は電源を切った。次は自宅の電話が鳴った。
私は自宅の電話の電源も切った。いったいナンなんだ!その夜、私は怖くて寝れなかった。

ストーカー【2話】

新ちゃんと付き合って1ヶ月。新ちゃんの趣味はアニメとゲーム。最初の頃は私に合わせて話しをしてくれたり、私の好きな映画を一緒に見たりと特に不満はなかった。慣れた頃から、新ちゃんは自分の好きなアニメを私の家でずっと見ている時間が増えていった。共通の話題はなく、だんだんとつまらない感じになっていった。
私が決めたことだが、ずっとアニメやゲームはキツイものがある。
私はデートの回数を減らすようにしていった。新ちゃんとの電話も減らした。
ある日、新ちゃんからの誘いを断ると、だだをこねるような態度をとられた。確かに私も悪いが、そんなことが続くと、私もだんだん疲れて更に会いたくなくなった。
やっぱり無理かも。私は新ちゃんと別れようと思い始めた。

ストーカー【1話】

彼の名前は新ちゃん。新ちゃんは9歳年上のサエナイ男子です。新ちゃんとの出会いはコンパだった。高年収の男性限定お見合いだった。男性参加者は35人、女性参加者は32人だった。新ちゃんは35人の男性の中で一番ブサイク。私のこれまでの恋愛はといえば、いつも彼に浮気をされて捨てられるパターンばかり。そんな残念な感じの自分を変えなきゃとずっと思っていた。モテナイブサイク男性と付き合えば、つまらない心配もしなくて良いし、私のことを大事にしてくれそうだと考えた。新ちゃんはまさにぴったり当てはまった。新ちゃんは誰とも話せずにいた。私は新ちゃんに声を掛けた。新ちゃんはとても緊張気味だったが、徐々に慣れて楽しく話せるようになった。ホントにサエナイ男だけど、とても優しくて純水な人だった。まさに私が理想としていた相手!新ちゃんは女性と付き合った経験すらなかった。職業は外資系の大手薬品メーカーの研究員。年収はなんと2000万超。実家は歯科医院を経営。申し分なく私は新ちゃんと付き合うことにした。私は勝ち組になったのだ。

トップセールス

始めての営業、私はガムシャラに新規獲得に執着した。直ぐに支店トップとなった。彼の収入は直ぐに追い越した。いつのまにか誰にも負けたくないという気持ちが大きくなり、気付けば入社後1年も経たないうちに会社のトップセールスになっていた。全体の営業マンの数は約3000人。確かにガムシャラに働いたが、私のなかではそんなに高いハードルではなかった。必死でない人間が多いということだ。女性の営業は、3000人のうち2人だった。もう一人の女性もトップ10には入っていった。男性営業には、女は得だよな!なんて言われたが、できないヤツほどクダラナイ言葉をはく。入社から約3年後、社長から本社勤務を進められ、役員就任の話しも頂いた。トップクラスの待遇も受けたが、さすがに転勤は難しく、私は営業マンでいることを選んだ。金融の仕事は夢のある仕事ではないが、私を雇ってくれた会社にはとても感謝していた。私はこの会社に長く務めるつもりでいたが、6年で退職した。
退職理由は父親の急死。大好きな父親の死により、私は強い気持ちを持てなくなってしまった。誰にも負けたくないという気持ちが持てなくなった。父親の死が悲しすぎて、仕事中でも涙が出てしまう。とても仕事にはならなかった。父親は私の仕事に大反対していた。女性が働くということと、金融というのも反対の理由だった。とにかく、続けられなくなり私のトップセール時代は終わった。年収は1000万を軽く超えていたが、迷いは全くなかった。