カテゴリー別アーカイブ: 探偵さんの小説

奥様を調査せよ〈5〉

老人と奥さん
体が不自由な老人と浮気している可能性はない。
昔の愛人だという可能性はあるが、現在は介護でしかない。
依頼者に老人のことを説明した。
依頼者は真剣に私の話を聞き項垂れた。
『なんということだ、、、』
『私はとても恥ずかしい』
依頼者はうつむき、数分間の沈黙が続いた。
そして依頼者は静かに話しだした。
『妻と会っていた老人は、私を育ててくれた実父のような人です。』
???「えっ?」
『私の本当の両親は誰なのかも分かりません。私は生まれてすぐに孤児院の前に捨てられました。』
『妻と会っていた老人は、捨てられていた私を大切に育ててくれた孤児院の院長です』
『7歳の時、今の会長が私を養子にしてくれました』
『当時、私は養子にいくことにとても反発しました。院長を本当の父親と思って生きていましたから、また捨てられると思ったのでしょう。』
『院長は、新しい両親は必ずおまえを大切にしてくれる人達だと何度も私に話をしてくれました。』
『それでも私は院長と一緒にいたかった。どうしても、いたかった。』
『どんなにどんなに院長にお願いしても、院長は私の願いを聞き入れてはくれなかった。』
『院長は、私はこれからもたくさんの親がいない子供達の親にならないといけないんだ!私はおまえだけの親にはなれない。新しい両親は、おまえを本当の子供と思って大事にしてくれるんだ!』
『その日から私は院長と一度も話をしていません。
養子にはいった家はとても裕福で、温かく私を育ててくれました。本当の子供のように。教育も人並み以上の環境を与えてくれました。
そして、今の地位も生活もあるのです。今の両親がいなかったら、今の自分ではなかったかもしれません。
いつのまにか、今の自分を当たり前のように錯覚していたのだと思います。
院長のことは、あのときに私を捨てたという思いのままになっていました。』
『妻には昔、そんな話をした覚えがあります。妻は、院長があなたのことをとても大切に思ってのことだったのでしょう。と言っていました。』
『そして妻は、私があなたに出会えたのも、院長があなたを大切にしてくれたお蔭ですね。と優しく言っていたことを思い出します。』
『妻が院長の面倒を見ていてくれたなんて、、』

奥様を調査せよ〈4〉

奥さんは木陰のベンチに座り、大きなカバンから、読み物やお弁当を出した。奥さんは老人にお弁当を食べさせていた。老人は無表情に口だけを動かしていた。この老人は誰なのか?父親?親戚?
私は依頼者に連絡を入れた。老人のことを確認すると、全く心当たりがないという。
食事を終えると、また付近をゆっくり散歩して、施設に戻っていった。奥さんは、また2時間かけて車を走らせ帰宅した。
私は老人の素性を調査することにした。
老人の名前、住所、経歴など。
調査はそんなに大変ではなく、あんがいスムーズに詳細を確認することができた。
ただ、奥さんとの繋がりがみえてこない。老人は、孤児施設の経営者だった。現在は引退している。貯金の殆どを孤児施設に寄付するような立派な人物。だが、身寄りもなく、老人を訪ねてくるのは奥さんだけのようだ。施設の関係者も奥さんのことは何も分からないし、聞いても知人としか話してくれないようだ。
もしかして奥さんは孤児施設で育ったのか?
いや、そんなことはなかった。奥さんは、お嬢さま育ち。奥さんと老人の関係を調べなければ。

奥様を調査せよ〈3〉

今日の奥さんはいつもと違って動きやすいラフな格好をしている。大きなカバンを持って車に乗り出発。探偵の予想としては、好きな男に会いに行く雰囲気ではないと。何か事情がありそうな予感も感じさせる。
休憩なしで高速を二時間程走り、小高い丘にひっそりと立つ老人施設に入っていった。この施設のことは、依頼者からの情報にはなかった。お見舞いなのか?30分も経たないうちに、奥さんは老人の乗った車イスを押して出てきた。奥さんは老人を慣れた感じで車に乗せた。車を走らせ30分、緑が美しい公園に到着。老人を車イスに乗せて、公園内をゆっくり散歩していた。二人は何故か会話を一切しない。老人が話せないのかもしれない。もしくは、痴呆なのかもしれない。老人に感情がないようにも見えた。

奥様を調査せよ〈2〉

奥様の調査が始まった。年は53歳だが、かるく10歳は若く見える。とても品のある美しい女性だった。派手な感じはなく、生まれもっての品の良さがにじみ出ている。一週間、連続で尾行を行ったが、怪しい行動など一才なかった。男性と会うことは一度もなく、人と会ったのは、友人らしき女性と二人で、一流ホテルのラウンジでアフタヌーンティーを楽しむ程度だった。あとは美容室やサロン等、用事を済ませたら真っ直ぐ帰宅する感じだった。旦那さんの取り越し苦労だろうとも思った。ただ、あんなに美しくて素敵な奥さんなら、疑われてもというより、心配になるのも仕方はない。明日も尾行を続ける。

奥様を調査せよ〈1〉

ある暑い日だった。とても紳士的な雰囲気の中年男性が私の事務所を訪れた。年は50半ばごろ、品の良い顔立ち。男性は落ち着いた渋い声で、『身内の調査をお願いしたいのですが、情報が漏れることだけは避けたいと思っています。失礼な質問ですが、こちらはその点は大丈夫でしょうか?』
私は迷わず「お任せください、大丈夫です。」と答えた。
男性を応接室に通すと、直ぐに名刺を差し出してくれた。
私は名刺を見て暫く固まった。とても有名な大企業の社長さんだった。
男性は『恥ずかしいお話しですが、妻のことを調べて頂きたいのです。』と淡々と話しを始めた。『おそらく彼女は浮気をしています。浮気をしている事実と、浮気相手に対する本気度を知りたいと思っています。』
私は「離婚を前提での調査ですか」と質問した。
男性は『浮気相手を真剣に愛していて、彼女が生活に困らない相手であるならば、離婚の選択肢もあります。』と。
『時間を掛けてじっくり調査してください。請求頂いた分はきちんとお支払いします。』
男性はいくら位掛かるのか全く聞くことはしなかった。
私を信頼してのことか、それともお金持ちの発言なのか。

婚約者の浮気調査【4】

彼に全てを確認した。彼は暫く黙ってから土下座をした。
本当にごめんなさい。誇れるとこなど1つもない僕が君を愛したことだけは本当です。嫌われたくなくて、ずっと一緒にいたくて嘘ばかりになってしまいました。半同棲状態の彼女には愛情はないけど、不敏で仕方なかった。子供は自分の子供では絶対ない。お金がなくて、ギャンブルで儲かるわけがなくても、儲けたい気持ちが!儲かるかもしれないとやめられなかった。正直に言えば、君を絶対失うから、結婚してから本当のことを話して、死ぬ気で信頼を取り戻そうと考えました。
彼は一瞬たりとも、私から目を逸らさず訴え続けた。
少し迷いも出たが、私には彼を受け止めることはできない。
私は彼に別れを告げた。
彼は泣きながら謝り続けた。
彼とは二度と会うことはないだろう。
これからは彼氏が出来たら早めに探偵に調査をしてもらおうと思う。
こんなに悲しい別れになったが、父親と優秀な探偵さんのお陰で、未来の大きな苦労を背負わなくても済んだのだから喜ばないといけないのだ。
早く気持ちを切り替えよう!

婚約者の浮気調査【3】

彼には同棲している女性と子供がいた。探偵事務所の調査によると同棲のみで籍は入っていないらしい。子供は彼によくなついていることが分かるような写真が多くあったから、彼と血が繋がっているのだと思う。女性は中国人でとても美人だった。女性に関してはそるだけではなかった。
他にも数多くの女性と遊んでいた。
本当に信じられなかったが、私のことなので受け入れなくてはいけない事実である。
父親の直感は当たったのだ。
彼は競輪、ボート、パチンコとあるゆるギャンブルにもはまっていた。
調査報告書に書かれていた内容は、全く知らないことばかりすぎて心の整理が直ぐにはできそうにない。
彼と話しをしなければならない。

婚約者の浮気調査【2】

あれから一ヶ月後。
母は探偵から報告書を受け取った。
母は開封もせずに私に報告書を渡した。
一瞬、彼に内緒でこんな調査をしている自分達がみっともなく感じた。彼にも申し訳なく思った。
でも父親を説得する必要もあったから
報告書を確認することにした。
報告書は私の知っている彼の日常ではなかった。

婚約者の浮気調査【1】

私は40歳の独身OL。
元彼と別れて5年以上経ったと思う。
元カレは超浮気性で何度も泣かされた。
男の人が信じられなくなって、元カレと別れた時は結婚願望すら無くなっていた。
たまたま友人の紹介で出会ったのが今の彼氏。
真面目で優しく理想的な人だった。
彼とは半年程前に付き合うことになり、私はとても充実した毎日を過ごしていた。
先日彼から結婚してほしいと言われ、私は少し早いとも思ったが喜んで受け入れた。
彼は私の両親に挨拶をし、結婚の報告をした。
母親はとても喜んでくれたが、父親は何故かやけに反対した。
何だか怪しいヤツだと言う。
もう私も40だから、快く賛成してほしかったが
父親は絶対結婚を許さないといって聞かなかった。
彼は嘘をついていると言う。
私は父親がボケたのかとも疑った。
母親は父親に納得してもらうためだといって、
彼の身辺調査を依頼すると言い出す始末。
でもそれで父親が安心するならと、母親の提案を受けることにした。
母親は、彼の身辺調査を探偵にお願いした。何社かの探偵に問い合わせて、一番安い探偵事務所に依頼した。彼を調べても怪しいことなど1つもないと私は確信していた。身辺調査は一ヶ月間おこなうことになった。無駄な出費で母が可愛そうに思った。

浮気する妻〈4〉

2週間後、先生から連絡が入った。
探偵事務所から調査結果が届いたと。
さすがに緊張した。私の知らない妻の行動を覗くことになるのだから。
弁護士事務所に入ると、机の上には分厚い調査報告書が置かれていた。探偵さんも同席してくれた。
弁護士は『不貞行為の証拠は十分揃いました』と。
私は恐る恐る調査報告書をめくっていった。
調査期間は連続7日間をだった。
探偵さんは細かな補足もいれながら丁寧に説明してくれた。
妻は日中毎日浮気をしていた。相手の身元も判明している。写真も鮮明だ。相手の男は誰が見てもイケテる奴だった。こんないい男が、何故こんなみっともない容姿の女を好むのか?分からない。性格が気に入ったのか?色々な疑問が頭をかけめぐった。
どちらにしても呆れるばかりだ。
これから暴力の証拠も揃え、離婚へ向けて進めていく。妻が望む慰謝料は払わなくてもすみそうだか、子供の親権を父親がとるのは通常は容易ではないらしい。先生は親権をとるのもなんとかなりそうだと言ってくれた。
離婚は大変と言うことは聞いていたが、それは本当だった。
これから離婚に向けて無駄な時間を費やすことにはなるが、先が見えていることに喜ばなければな、ないと思う。弁護士の先生と探偵さんにも感謝している。この人達に出会えなかったら、仕事すら手につかない状態になったかもしれない。
弁護士の先生は離婚相談のプロ、弁護士さんは浮気や身辺調査のプロで有名らしい。費用を心配したが、やはりプロは適性な価格だった。予想していた費用の半分以下で済みそうだ。
離婚までラストスパートだ!早くすっきりさせて、子供達と一緒に新たなスタートラインに立ちたい。