カテゴリー別アーカイブ: 探偵さんの小説

はじまりはいつもミステリー EP5

吾輩は好きな時に好きな所へ行ける自由な身。
ある時は西へ、ある時は東へと風の吹くまま、気の向くまま。
体が濡れるのを嫌う事以外、夜中でもへっちゃらな行動力なのだ。
一歩外に出た世の中では色々なミステリーが潜んでいる。
吾輩が歩いてきた所にもいろいろな人間模様のミステリーがあった。
いつも吾輩が立ち寄る探偵事務所では、日々、様々な客人が抱えた悩みを相談に来ていた。
だが、その話はまたあらためて、お話しすることとしよう。

妻の男/1

妻の瞳は和服が似合うとても美人な女性だ。私は55歳、瞳は40歳。結婚して15年目になる。瞳はとても控え目で品があり頭も良い。瞳は専業主婦で、習い事をいくつかしていた。子どもは二人おり、私が言うのもおかしいが、絵にかいたような幸せな家庭だと思う。私は会社経営をしているので、金銭的にも十分すぎるほど瞳には自由にできるお金も渡していた。瞳とは結婚してから一度も喧嘩をしたことがなく、仲の良い夫婦だった。
そんな幸せな日々が私は永遠に続くとしか思っていなかった。
しかし、ある日、瞳を抱こうとしたら、瞳は私を拒んだ。体調が悪いのかもとその日は思ったが、それ以降、私に抱かれたくないと言う。好きな人ができたのか?と聞いても首を横に降るだけで、ごめんなさい、としか言わない瞳。私はとても不安でいたたまれなかった。暫くそっとしておこうと心では思っても、理由をどうしても知りたくなってしまう。
瞳は、それ以外はこれまでも変わらずであった。瞳に何が起こったのだ?

浮気者【4】

私は適当な理由を作って支店長と会わないようにした。調査開始から2日目、支店長は女と会った。相手は私の隣で仕事をしている事務員だった。親友というわけではないが、ある意味、親友と同じくらい信じられない相手だ。私の後輩でもあり、とても仲良くしていた同僚だったから、情けなくて言葉もない。支店長が浮気をしているとは思っていたが、相手か同僚だとはこれっぽっちも予想していなかったから、ショックは大きかった。私は支店長に全部を話した。探偵に頼んで浮気調査をしたことも。
支店長は言い訳せずにひたすら謝った。私は許すことにした。支店長は孤独ではないのかもしれない。もしかして、私のような女性が他にもいるのか?、、、
一度浮気をされるとどうしても疑い深くなってしまう。スマホを触れば女とメールしているのでは?と考え、会えない日があると、浮気を予想させる。
自分の中から支店長の対する尊敬はなくなっていった。

探偵事務所からは、予想より早く調査を完了したということで、基本料金を値引きしてくれた。とても良心的な費用というより、かなりお安いと思った。調査報告書もきちんとしたもだった。こんなに安いなら、少しでも不審に思ったら、手軽に依頼ができそうだ。今度浮気をしたら絶対に許さないと私は誓った!

浮気者【3】

ある日、夜遅くに支店長から電話があった。
少し辛いことがあったから、私の声が聞きたいと言う。私は何故か少し嬉しく思う自分に気づいていた。それから電話で話すことが増えていった。
そして自然に付き合うようになった。
支店長は不細工だったが、一緒にいるととても心が落ち着いた。何か面白いことを言う訳でもなかったが、楽しかった。支店長は高級なレストランや料亭、高級なホテルに惜しげもなく私を連れていってくれた。行きなれている様子はなかったが、私を喜ばせたいという思いが強かったのだと思う。
ただ、とても心配性で焼きもちやきだった。
付き合って1年程たった頃、連絡が全く取れない時が度々あった。私の直感だか、浮気だと思った。支店長に聞いても、そんなわけないと言う。どうしても信じられず、私は探偵に調査をしてもらうことにした。探偵には、別れたいのか別れたくないのか聞かれたが、自分でもどちらなのか分からなかった。とにかく、本当のことが知りたかった。探偵に頼むのは初めてだったが、いくらお金がかかっても構わないと思った。浮気調査が得意そうな探偵をインターネットで探した。探偵はとても紳士的でとても親切だった。費用も思っていた予算の3分の1。依頼した翌日から調査を開始してくれた。私の直感は多分当たっていると思う。

浮気者【2】

私は少し迷ったが、支店長と話しをしてみることにした。最初はぎこちなかったが、段々と話しがはずんだ。会社での支店長の嫌らしさは全くなく、話しをすると、とても好感のもてる人に思えてきた。支店長はいつも一人だった。休みの日も、会社でも、随分昔から孤独だったらしい。仕事しか取り柄がないというのも自分たち分かっているらしく、それなら徹底的にのしあがってやろう!と一生懸命だったらしい。皆にはどう接して良いか正直分からずに、日々悩んではいたようだ。支店長はこんなに自分の話しをしたのは生まれて初めてらしく、嬉しかったようだ。
こんな人もいるんだと、むやみに支店長を嫌った自分のことを心のなかで恥ずかしく思った。
支店長は検査入院で1日だけの欠勤だった。
翌日からはこれまでとかわらない、支店長が会社にいた。でも私はこれまでと違った思いで支店長を見てみると、仕事に対して実に丁寧に要領よく進めている感じが分かった。厳しく指摘することも、ごもっともなことだった。
嫌いから嫌いではなくなったが、好きという感情は一切うまれなかった。

浮気者【1】

彼と出会ったのは3年前だった。私は事務員で彼は支店長だった。彼は、3年前に北海道から転勤で三重に来た。彼に対しては何の興味もなく、厳しくてうるさいヤツとしか思っていなかった。顔は不細工でデブ、仕事しかできないタイプの人。でも仕事は超スゴくて会社一の切れ者だった。従業員3000人いるなかでの切れ者であれば、スゴイことに間違いはない。彼は、私も含め事務員にもとても厳しかった。少しのミスも許せないような感じだった。事務所内はいつもピリピリ状態。皆、出社するのも嫌になるくらい支店長は嫌われていた。

暑い夏の日、支店長が初めて欠勤した。入社して初めての欠勤らしい。検査入院と聞かされた。支店長は単身者で独り暮らしだったからか、本社から私に連絡が入り、支店長の見舞いにいって困り事がないか確認するよう指示された。
正直、えー何故私なのー?と思った。嫌々病院に行った。
病室をノックしても何の返事もなかった。そっと病室に入ると、支店長がベットの上で仕事をしていた。私がノックした音も聞こえないほど集中していた様子。
『支店長!』
支店長は、少し驚いて
『あっ』
『どうした?わざわざ来てくれたのか?』
少しの間があったせいか、
『会社から言われたのか、すまんな、、』
『俺は大丈夫だから帰ったらいいよ』
支店長は少し寂しげな表情を浮かべたように思えた。
この人もこんな表情するんだと、何故か少し可哀想になった。

離婚したい理由[4]

探偵さんが証拠を見つけてくれた。

夫が私と別れたい理由。予想した通り、夫は浮気相手と結婚したいから私に別れてほしいと言ったのだ。好きな人ができたのなら、正直に言うべきだ。夫はズルイ人だ!夫が好きな人は妊娠していたことも分かった。私と離婚を急ぐ理由もハッキリした。

探偵さんは、あとは弁護士を通して話しをしたほうが私のためだと心配してくれた。探偵さんの言うとおりだと思う。でも私は、自分で夫に伝えたい。伝えて、あとは全て弁護士さんに任せようと思う。

夫に話しかけた。『あなたが離婚をしたいという理由、分かったわ!』

夫の顔色が変わった。『何言ってるんだ?理由なんてないよ!財産はきちんと半分にしよう。』おどおどしながら夫は答えた。

私は静かに言った。『結婚したい人がいるんでしょ。その人には子供もいる。これ以上嘘をつかないで!私を騙さないで。』

夫は、優しい顔になり『ごめん、ごめん。子供ができてしまって、どうしようもなかったんだ!本当はおまえと別れたくないんだ!彼女に責められて、そう言うしかなかった。』と謝った。全てが情けない。

『とりあえず、私は家を出ます。あとは弁護士さんと話しをしてください。』

私は家を出た。弁護士さんと探偵さんのおかげで、私は夫からきちんと正当な額の慰謝料を貰うことができた。私も早く気持ちを新たに前に進んでいこうと思う。

 

 

離婚したい理由[3]

私は夫のことを調べてみることにした。携帯を初めて見た。携帯はロックされて見ることはできなかった。携帯をロックする必要があるのか?パソコンの履歴を見てみた。検索履歴を見て愕然とした。離婚、慰謝料、調停、新築マンション、婚約指輪、新婚旅行、ウェディング、、、

夫は私と別れて誰かと結婚をしたがっている。夫は私を騙そうとしている。

許せない。絶対許せない。

私は夫と別れることに決めた。でもタダでは別れない。夫には償ってもらう。

私は信頼できる友人に相談した。友人は、知り合いの弁護士を紹介してくれた。弁護士さんは証拠をつかみましょう!と探偵を紹介してくれた。初めて見る探偵さんは私が思うイメージとは違っていた。とても誠実な感じだった。傷ついた私をこれ以上傷つけないよう言葉を選んで話してくれたりもした。

夫と口をきかないまま時間ばかりが過ぎていった。夫は苛立っているようだが、もっと苛立てばいいとさえ思った。あなたの証拠をつかむまでと心のなかで叫んでいた。勝手な人、私を騙して違う人と再婚したいなら、きちんと慰謝料を払ってもらう!

離婚したい理由[2]

私はどうしてよいのか分からずに夫に返事を出来ないまま一週間が過ぎた。この一週間、夫との会話はゼロだった。何故こんなことになったのか?私が悪かったのか?私はこれからどうやって暮らしていったらいいのか?別れる時の慰謝料は貰えるのか?住む家が決まるまではここにいてもいいのか?数えきれない程の質問が頭の中で湧いてくる。いつのまにか離婚することの損得に関してばかりを考えている自分に気付き、心が寂しい漢字になる。

夫は『離婚の話し、考えてくれた?』と聞いてきた。

私は『離婚したら慰謝料はどうなるの?財産分与のことはどうするの?』と聞き直した。

『子供もいないし、お互い働いてるんだから特に財産分与なんて堅苦しいことしなくていいんじゃないか!慰謝料は100万払うつもりでいる。』

なんだか、むなしくなってきた。夫は私にこれっぽちの情もないようだ。夫の言葉はとても冷たく私を心を傷つけた。

『とにかく、そんなに早く答えはだせないから、、勝手なこと言い出したのはあなたよ!急がせないで!』と、私は怒り口調で夫に言った。

私は冷静になって考えることにした。冷静に考えることで、夫が私と離婚したい理由がやはり分からなかった。何かの理由はあるはず。

離婚したい理由[1]

私は35歳。夫は40歳で子供はいない。結婚して11年目を迎えた。私達は職場で知り合い結婚した。会社の規定で夫婦ともに同じ会社で働くことはできなかったので、私が寿退社をした。特に大きな喧嘩をすることもなく、仲良く過ごしていたように思う。そんな夫が2ヶ月前から少しずつ変わった。家に帰っても、殆ど話をしなくなった。食事の量も減り、笑わなくなっていった。私はとても心配で、何度もどうしてしまったのか?と聞いたりしても、別に何でもないと言う。鬱のような感じにも思えてきた。会社には行っているが、明らかに夫は別人のように変わってしまった。悩んだ挙げ句、職場の同僚にも夫の様子を聞いてみたりもした。同僚は特に変わったことはないと言う。会社だから我慢しているのだろうか、、、

ある晴れた土曜日の朝のこと。夫は私をじっと見つめ、『別れてほしい、おまえのことが嫌いで言うんじゃないから誤解しないでほしい。』『何もやる気もでないし、誰とも一緒にいたくないんだ。原因も分からない。』『こんなんじゃいけないと思えば思うほど滅入ってしまうんだ。』『頼む』『ごめん』

あまりにも突然すぎて返す言葉も見当たらなかった。長い沈黙が過ぎていった。どれくらいの時間が経ったのかも思い出せない。

私は『別居じゃ駄目なの?』とやっとの思いで聞いてみた。

夫は迷わず『それも、考えたさー!待たせてると思うと辛くなんだって!』

夫の言葉がとても冷たく感じられた。

私は考えてみると夫に伝えると、夫は『有難う、ごめん。』と言った。